春のエレキ
いろいろあったが、春分を越え、昼は夜を打ち負かしたのである。これから北半球は半年間ブライトな側に回るのだ。光が眩しいほど闇は底深く暗く、闇は暗いほど、やはり闇は暗い。まるでこの世は何のこっちゃの真っ暗闇だが、くよくよ気にするな。
季節によって弾きたくなる楽器があるのか、鳴らしたくなる音があるのか、その辺の自分の生理はよくわからないが、最近鳴らしているのがエレキギターである。
エレキギター、なんと甘酸っぱい青春の響き。
記憶を辿ると高校生の時はエレキ、よく弾いた覚えがある。譜を買ってきてストーンズのコピーから始めたものだ。サティスファクションのイントロをベッベーベレレーレレッレーと一日、馬鹿のように弾いたものだ。それしか弾けなかったのだ。はっは。
サティスファクションのイントロを卒業すると、アンダー・マイ・サム、ジャンピン・ジャック・フラッシュ、ブラウン・シュガー、スタート・ミー・アップなどのイントロを、やはり一日、馬鹿のように弾いた。どうにもイントロから先へ進まないのだ。はっはっは。
おそらく、その頃の修行が体質に染み付いているようで、リフを繰り返しているだけの単純な曲などが、私には非常にしっくり来る。
その後、バンドの中で隠し味程度に弾いたりしたものの、まったくエレキ道に打ち込んできたとはいえないものだったが、この数年、気が向くと思い出したように弾いてみている。楽しい。
更に、バンドをやらなくなって、どこへ消えたかエフェクターが一つもなくなってしまっていたのだが(といってもコンプとフランジャーとディレイしか持っていなかったけれど)、昨年、音楽仲間にマルチエフェクターを譲っていただき、ギーとかジーとかピーとかフニャとかいう音が出るようになった。その使い方は依然よくわからんが、楽しい。
何となく浮かれ気分だと、ギュイ〜ンなのかフニャラ〜ンなのか、そういう類の音を出したくなるのだろうか。また、その手の音を奏でておると、少し、若々しい心持ちになるような気もするのである。幸せそうにエレキを奏でる知人などをふと思うと、確かに若々しい。あやかりたいものなのである。
春だね。