武器1


 さて、このところ非常な悪巧みを企てておった。


 ま、かねてからやりたいと思っていたことを実行に移しただけのことではあるが、いざ行動に移すとなると、それには様々なリサーチ、予算調達、影響及び効果の測定等、慎重かつ大胆に進めねばならぬ事柄は多い。


 というわけで、ミキサーを購入した。なんだ、そんなことか。



 ミキサーと言っても、それは野菜ジュースを製作したり、前回日報で報告したホモス調理のためにひよこ豆をぐしゃぐしゃにしたりする調理機器ではない。複数の音声信号をまとめる機器のことである。


 私はその人生の中でいくつかのミキサーを所有し使い込んできた訳だ。最初はMaxonの6チャンネルのミキサーだったと思う。遠い昔だ。録音やライブで重宝した。


 それからTOAの業務用10チャンネルのミキサーを楽器屋展示現品で格安で調達し、ライブでシンセ用のサブミキサーなどとして、これも重宝した。


 数年前のある日、自宅で2年ぶりくらいにそのTOAのミキサーをちょっと使うか、と電源を入れてみたところ、ありゃ、音が出ねーぞ、変だなこりゃ、などと思っていたら、白い煙がモクモク出てきて燃え出したのには泡食った。慌てて電源を抜き、ラックから引きずり出し、飲んでいた茶をかけた。ジュー。御陀仏也。


 他にもカセットMTRなどを所有していたから(初代4トラック、二代目8トラック)、そこにもミキサー部の機能というものがあるわけで、人生、あるときを境に、常にミキサーと触れ合っていたことになる。5年前くらいにMacを購入するまでは。


 Macを購入して、そこに入っていたGarageBandというソフトをいじってみているうち、あぁ、これで充分じゃん、と思え、私はカセットMTRやらサンプラーやら音源モジュールやらを全部手放して清々して今日に至る。


 しかし、ちょっとその、不都合と申しましょうか、もうちょっとMacじゃできないことというか(金出せば出来るのかもしれないけど)、やりたくなりました。


 というわけで、中古でMackieの1202VLZというミキサーを調達しました。なんか、知らぬ間に、アナログミキサーも低価格で凄く良くなっているのね(これも最新な訳ではないのだけど)。ちょっと感動。2バスで4チャンネルはパラ出し出来るし、AUXは2系統、EQは3バンドと、望むべき機能は網羅されている。


 単純な話、弾き語りのようなことを複数のマイクを立てて録音出来るようになったのですが(今まではオーディオインターフェイスにマイク/ライン端子が一つしかなかったので出来ませんでした)、もうちっと違う企みもありまして、ヒヒヒ。


 ちなみにミキサーの下敷きになっているのは20年前くらいに購入したYAMAHAのSPXというマルチエフェクターの化石である。10年ぶりくらいに電源を入れてみたら使えて驚きました。


 続く。