民衆歌の新しい一座


 最近は心を入れ替えて本来の音楽ブログちっくな佇まいを醸し出している移動式日報どえ〜す。


 基本的に、気になる音楽ネタを取り上げつつも、アーティスト本人の情報などは、そんなもん他人事だし、調べたり綴ったりするの面倒くさいし、ろくに触れない心構えでやってます。まぁ、基本的に音楽そのものが重要なのであって、アーティストの属性などは、場合によっては売らんがための虚飾と神話に粉飾されていることも往々にしてあるので。そういう部分で実勢価値よりも高値で取引されているよなぁ、などと底意地悪く感じる音楽は多いね。特にどの国に顕著などとは申しませんが(薄々は思っているけどさ)。ま、商売上手ってやつだ。俺に商売は関係ねぇ(決まった)。


 だが、とはいえ、しかし、ただし、かわいこちゃんだけは、場合によっては音楽そのものより存在のほうがはるかに重要な場合があるので、そこのところは仕方がないでしょう。許して下さい。


 では、今週よく聴いていたものを。





 NCCP、正式名はNuova Compagnia di Canto Popolare(民衆歌の新しい一座)。


 イタリアはナポリの楽団である。70年代、ナポリの民謡を発掘・発信するような集団からスタートし、90年代以降は現代的なサウンドを取り入れたオリジナル表現へと移行してきている、と理解している。学生の頃、90年代の初頭だったが、教授から70年代の音源を聞かせていただき衝撃を受けた。タンバリンて、こんなに荒くれて格好いいものだったのか。


 それを機に、以来、CDなど購入したり、継続して愛聴している。以前はyoutubeなどでも映像がほとんど見つからなかったものだが(探し方が悪かったのかも)、最近検索してみたら随分いろいろな映像を見ることができ、合わせて久々にまとめて聴いてみたという訳。


 映像のように、タンバリンを打ち鳴らし、フリクション・ドラムをギッシュギッシュと擦り、マンドラ(大ぶりなマンドリン)をべれべれ奏で、笛をひょろひょろ吹き、喉も破れんばかりの声を張り上げる(あとギターとカスタネット)。


 これこそ夢である。夢のフォーメーションである。金属・皮膜・弦・空気・声というインストゥルメンツの構成要素、叩く・揺さぶる・擦る・弾く・吹く・絞り出すという身体各部位の運動、すべてが野卑に絡み合うアンサンブルである。憧れるなぁ。私はほとんどこういうことをやりたかったのだなぁ。そしてその「ほとんどこういうこと」であるが、それが何人が奏でるどこの音楽だろうと構わなかったし、どういうカテゴリーで呼び馴らわされ流通し売買される音楽であろうと構わなかった。そういう気持ちになる音楽と触れ合った気がしたものだった。