風よ吹け弦を鳴らせ


 唐突ですがエオリアン・ハープをご存知でしょうか。


 共鳴箱に張られた弦を風が横切っていくと、不思議な音が鳴る楽器です。下記動画の4分あたりの感じ。



 なんとも神秘的ではないですか。発音原理はここでくどくど説明するのが面倒なので、この辺をご覧ください(手抜き)。


 さて。つまり、どういうことかというと、欲しい。非常に欲しい。欲が、欲が抑えられねぇ。


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 私の住まう町であるが、これが風の強い町なのだな。両隣の町の方が更に風が強いとも感じるが、それでもこの町にも侮れん強風が吹き荒れるものだ。特に冬の寒風。無防備で歩いていると耳が千切れそうになるぜ。やってられんのだぜ。


 夜。強風が吹き、そこらの電線をかすめた風は「ぴゅう」「びゅう」と、なかなか腰の据わったサウンドを奏でていく。物心ついたときから今に至るまで少しも変わらない荒れた冬の光景を彩るサウンドだぜ。彩るといってもカラフルな感じはしないぜ。まぁ、この辺に暮している人ならわかってくれるだろう。


 原理としては同じことだと思う。ならばこれからの強風突風シーズンで大活躍を期待できるインストゥルメントではないだろうか。もしも、私の住まう町の住民が各家庭に一台、この楽器を導入し、軒にぶら下げるなり、屋根に据え付けるなり、庭に放置するなりしたとしよう。町がうわんうわん鳴り響くかもしれん(逆に打ち消しあうかもしれん)。うまくいけば町起こしになるかも。音馬鹿町として。うわ、それすげえ!


 まぁ、エオリアン・ハープなどと、ギリシャ風の洒落たネーミングのため、そよそよっとした心地よい風が私の頬をかすめていったわ不思議な音とともに神々の悪戯ね的な、快い癒し感覚を感じてしまわないこともないではないが、そんなことは春〜夏の間にしてくれ。もう冬なのじゃ。


 冬には冬のサウンドがある。それを追求してみたいではないか。強風だから良く鳴るというものなのか、その辺りは楽器の個体差などもあろうし、さっぱり分からないのだが、冬の乾いた零下のつむじ風が、この楽器をしてどんな音を奏でるのか、興味があるのじゃ。問題は入手経路が分からないことじゃ。そして作るには不器用なのじゃ。更に多額のマネーを投下したくはないというケチな心性じゃ。う〜む、どうしてくれよう。