完熟アボカド
最近やたらとアボカドを食うようになった。
多分、今年の3月頃から30〜40個くらいは食っていると思う。もともと好きだったのだけれど、こんなに食う習慣はなかった。
なぜか。
なぜだ。
スーパーに並んでいるアボカドであるが、大体、これまでは、ちっこくて皮が緑色のものが多かった。これは不味い。皮が緑色の状態では、ひどいと包丁を横に入れても果肉が中心の種とぺったり癒着しており、二つに割るのにも難儀する。二つに割っても種を取り除くのに当然、難儀する。果肉の色は緑と白のグラデーションだ。更に、皮を手でべろりんと剥くこともままならない。食感も奥歯で押しつぶすような感じで実によろしくない。
俺はね、一度ね、真緑のアボカドを食おうとしてね、歯が立たなかったことがある。売るなよ、そういうもの。おかげで、アボカド選びは慎重な男になった。皮は黒、手にもった感じがずっしりしていて柔らかそうなものがよい。
こうしたアボカド状況を一変させる事態が起こった。良く行くスーパーで「完熟アボカド」を商品名に名乗るものを売り出すようになったのだ。
これが滅法美味い。
でかいし、黒いし、柔らかいし、口に入れると良質のクリームのような食感さえする。あ、なんか、表現が、エロ。ままよ。食の悦楽とエロスとの間に垣根などあるものか。
果肉の色も、緑がかった黄金色とでも申しましょうか、見た目にも豊穣を感じさせるのだ。
こうした素晴らしい食材がお口に入ることは、食のグローバリゼーションの延長だろうし、輸入業者の商品開拓に掛ける情熱でもあるだろうし、アボカドの供給国であるメキシコとの間に結ばれたFTAの影響もあるのかもしれない。
食い方は人それぞれだろうけれど、大体、私はサラダにする。
トマトと一緒にフレンチ・ドレッシングで和えるとか、バルサミコ酢のドレッシングで和えるとか、チコリと一緒にマスタード・ドレッシングをかけて食すとか、する。シンプルにレモン絞っただけで食う、とかもよい。
パンにも合うぞ。「カニの缶詰(貰い物)でも食うかー」ってんで、バゲットにカニ缶とアボカドはさんで食った時には、己が餓鬼になるかと思った。
一手間かけてメキシコ料理のワカモーレ(アボカドのディップ)など作ってもなお良いだろうが、それはメキシコ料理屋で食うとしよう。
というわけでこの先も、何個も、何十個も、食うだろう。もう定番化した。俺の中で。
真緑の皮をしたアボカドは、ダメ、絶対。