ジャケ買いレコード評、韓国編(1)



 た、楽しそう。メガネ系?兄弟?
 見てわかるようにハングル文字の羅列を一体私に解読できようか、いや、できまい。NHKラジオ講座のハングル文字表とにらめっこしながら解読した結果、おそらく右上の二行にはこう書かれている。


トゥイン ポルリオ リサイトゥル
チュクチェウィノレ


意味は皆目見当もつきません。<予想>


 ジャケットを見ても盤面を見ても制作・発表年らしきものが記載されていない。ジャケットの朽ち具合から1970年代の作品では、と推察する。その時代は日本でもフォーク・ソングの全盛時代だったことから、韓国でもそんなムーヴメントがあっても少しもおかしくはない。ジャケ裏には何かの賞を複数受賞したらしきことが印刷されている(漢字なので読めた)ので、フォークといってもきっと反体制的な内容ではないのだろう。ま、どうみても反抗的なルックスではないな。それにこの楽しそうな様子からは、案外コミカルな歌曲を演奏してもおかしくはない雰囲気も漂ってくる。ということで、フォーク・ソングにインスパイアされつつも、コミカルな掛け合いを聴かせる、世間激賞の名盤の予感が膨らんでくる。そして、ハングル文字の羅列一行目は「TWIN ポルリオ」ということでポルリオさんちの双子の兄弟デュオということなのだろう。さらに「リサイトゥル」は「リサイタル」に違いない。そして「告別」の文字。きっとポルリオ双子の師か誰かの追悼のための渾身のライブ盤だ。観衆のボルテージ最高潮か?


<結果>


 ちりちりと針音のイントロダクションの向こうから観衆の大歓声、と思いきや、これはライブ盤ではなーい。すっげー普通のフォーク・デュオである。2本のギターと息のあったコーラス、日本で例えるなら『さよならをするために』『白いブランコ』などで知られるビリー・バンバンみたいな感じだ。その感じだ。一直線にそんな感じだ。正しい発声と、正しいギターのアルペジオだ。無駄なし。賞を取るにはこういう道を行かなければ、と参考になるほど正しい。まぁったくコミカルな掛け合いなどない。オリジナル曲らしき曲は数曲あるものの『エーデルワイス』とか「おーたーまじゃーくしーはかーえるーのこ」のメロディーの歌とか、欧米の民衆歌みたいなもの(それがもともとフォークソングなのだが)のカバーのほうが多い。ま、ジャケを反映しているのか暗い歌はないな。と「告別」の二文字は誰のための何のための告別なのだ!
 昨今のこのゴテゴテした装飾過剰の時代、この心が洗われるかのようなフォーク・ソングは貴重だが、実に退屈である。まぁ、退屈な時間を浪費することは贅沢なことなんだよ、とでも前向きに考えよう。


 予想的中度、自己採点30点。次回に期待。とにかく読めんし意味わからん。ハングル。