非常事態街


 すっげーどーでもいいこと。


名探偵コナン」というテレビ番組がある。どういうわけか時々見る。能動的に見ているわけではないので、登場人物の名前とかうろ覚えだし、作者の名前も「確か青山何某だったよなぁ」程度にしか思い出せない。失礼。


 ま、とにかく少年探偵の江戸川コナン君が次々と難事件を解決していく痛快ディテクティヴ・アニメーションなのだ。コナン君は少年だけど本当はハイティーンの若者らしい。その辺り、よくわからないし、どーでもいい。心から。失礼。


 そんな投げやりな姿勢で見ているテレビ・アニメに何を物申すかというと、コナン君が住んでる町は確かハイド町とか何とかいう町だったと思うが、そこの殺人発生率が異常に高いと思うのだ。まぁ、週によって舞台が変わったりもするから毎週そこで殺しが起こっているとは言わないにせよ、きっと年に30件くらいは起こっているはずだ。しかも、だ。その殺しが、どれもアリバイ・トリックやら密室トリックやらを駆使した、極めて計画的、極めて用意周到、極めて知能犯的な、極刑をもって臨まねばならぬような仕業ばかりなのだ。


 一体、どーゆー街なのだ、ハイド町。


 俺の見たところ、ハイド町は行政区分ではなくて街区に過ぎないと思う。そんなことなら人口も相当多目、かなり過密に見たって3〜4万人ってところじゃないかな。そこで年に30件の殺しが発生すると、人口10万人あたりの殺人件数は75〜100人ということになる。


 ちょっと、これは世界最悪といわれる南アフリカ(約77人 2000年)と同程度か上回るほどですよ。ちなみに日本は0.9人くらいらしい。


 参考「世界各国の1995〜2006年度の殺人の発生認知数」


 それら本庁のメグレ警部(登場人物です)でもお手上げの難事件をコナンがすべて解決しているっていうのがすごいのだが、ちょっと待て。本庁のメグレ警部が自分で片付けているヤマだってあるだろう。いくらなんでも。プロのデカだし。テレビに映らないだけで。


 となると、コナンが解くほどでもない、極めて短絡的、極めて感情的、極めて杜撰な殺しもアンダーグラウンドで起こっていてもおかしくなかろう。更に殺し件数が増える。いかん、地上最悪の殺人発生率だよ。この町は。殺人都市だよ。


 こんな状況下では大量の住民流出が起き、商店街には閑古鳥が鳴く。市街は殺伐化し地価も下がる。そこへならず者どもが流入してきて街は更に殺伐化する。荒れる。荒れ果てる。政府も重い腰を上げるだろう。場合によっては国連治安維持部隊の要請すら必要かも知れぬ。辻には治安部隊が配置され、装甲車がパトロールにあたる。各国政府は日本への渡航に注意を喚起し、とりわけハイド町がある地域への立ち入り自粛を自国民に勧告するだろう。おーい、ここどこ?


 きっとそんなことになればコナンの寄宿する明智毛利探偵事務所も店をたたみ、もちっとマシな立地へ移転するだろうな。赤坂でも四谷でも。コナンもこの街を去らねばなるまい。


 コナンよ、メグレ警部よ、殺しを抑止せよ。