メランコリィとジャカスカの精達に捧げる


 先日短報(参照)の通り、4/14、銀座TACTにて開催のガレフェス'07において、colさんという、萌え死に注意報が発令されるような素敵で、良いお声をした方のバックで、予定通りマダリンとチャンゴを演奏してきた。


 このステージへ辿り着くまでは、一応、私なりに幾つかの試練を乗り越えてきたものだ。


 まず「とにかく何かやって」というような依頼を「もちろんやります」とお受けさせていただき、確か最初に目にしたセッティング・リストでは私はパーカッションということになっていてドラマーはいなかった。


 ま、まずい。これはイカンぞ。もしかして私はドラ息子或いはリズムに強い男だと思われているのかも知れん。打楽器は苦手なのだ。即座に練習に取り掛かからねば。何叩くか。音、でかい方がいいだろうな。部屋に転がっている最近購入したチャンゴに目が行った。即決。


 しかし、このチャンゴは格安で購入したものの訳があり、皮が一枚破けていたのだ。早速、友人で大韓コネクションを持つリールル嬢に連絡しソウルへ手配をかける。その間、皮の破れ目をダイソーのクリアー・テープで塞ぎ練習する。ベシベシした音がこだまするぜ。更に車に乗っている最中などもチャンゴのバチを二本持ち歩き、運転中も足やシートを叩き練習する。危険だぜ。


 と、そんな日々に新たな展開が。ドラマーが加わられるらしい。これは良い方へ展開しているぞ。ではチャンゴは途中から叩き、前半は弦楽器弾こう。


 ギターも加わられるようだったので、ではマンドリンでも、と思いニ・三日練習してみる。が、違う。部分的には良いが、トータルで考えるとどうも合わない。チロチロしているだけになってしまう。ミュージシャンとしての私なりの使命はメランコリィとジャカスカの精をこの世界へ送り込むことであり、それは私が関わるどんな曲でも忘れてはいけないことなのだ(馬鹿)。まぁ、人様の曲に参加させていただく身でありながら、である。そういう点ではエゴイストなのだ。


 目の前の棚に立てかけてあるマダリンに視線が行った。んー、可能性はあるが、扱い辛いな。ビルマ産のこいつはオクターブ・ピッチが合わないのだ。下駒の金属ブリッジのネジが馬鹿になっていて高低をつけられない。それに通常、ギターのオクターブ上でチューニングしているのだが(本当はどういう調弦なのか知らない)、弦がすぐ切れる。


 プチ改造だ。金属ブリッジを外し、ビニールの細い棒をブリッジに替えた。下駒全体の位置を調整しオクターブ・ピッチを合わせる。弦は半音下げて調弦する。完成。あっという間。これを改造とは言わない。ベストではないが、少なくともベターなチョイスではある。これで行こう。


 マダリンもチャンゴも両方背負い、曲中に持ち替える。8小節が必要なことがわかった。もう、自然に何をどう弾くかが決まっていく。チャンゴ皮も届いた。


 夜半、町外れの市営プールの人気のない駐車場で練習する。暗闇、チロチロ音、ジャカスカ音、太鼓音、不気味である。もし笛も吹いていたらやばかったろう。


 そして私は、つ、遂にスポットライト(そんなもんあったっけ)の下に立ったのよ!カモン、メランコリィ&ジャカスカの精達!


 そして、まったくその場で初めてメンバーの方達(すばらしい面子で気後れする)と合わせた演奏は、とても楽しかったのですが、どうも練習のようには弾けた覚えがない。ああー。


 萌え死んだ方は大勢いたと思うが、精達の姿を見ることができた方はいらっしゃっただろうか?