こぶし歌謡
ふと気付いた。
ときどき好きな音楽のことなど書いているが、振り返ってみると自分の嗜好をそれほど反映していない気がする。それなりに話の通じそうな話題を選別していたのかもしれない。
Khaled, Rachid Taha & Faudel / Abdel Kader
ライ Rai と呼ばれるアルジェリアの歌謡の歌い手達のライブである。こぶし回しが爽快。これだけ回ってると「こぶしを回す」と、名詞+助詞+動詞という手続きなど踏まず、ズバリ「こぶす」と動詞化したくなる。
(用例)
- まさおくんが朝からこぶす。
- いや〜、こぶしてますなぁ。
- こぶさずにはいられない陽気ですね。
- 先生がおこぶされた。
- ・・・
ハレド Khaled (ヒゲの親父)はキング・オブ・ライ、ライの王であり、その縦横無尽なこぶし回しを誇る歌唱と、エレクトロニクス、レゲエやらヒップホップやらをも(割と無節操に)取り込んできた姿勢は他の追随を許さぬものがある。ちなみにフランス在だ。
続いてラシッド・タハ Rachid Taha (長髪のアニキ)は、そのパワフルかつダイナマイトな歌唱が、実に漢気満々、痺れさせるぜ。フランス在だ。
もう一人、フォーデル Faudel (三人の中では薄いルックスの若者)である。ハレドとタハの歌には心をワシ掴みにされてきたものだが、御免、フォーデル、君の力が前二者より劣ることは明白だ。
さて、つまり、全員フランス在である。ハレドはアルジェリアにて歌手として大成してから活動拠点をフランスに移した。タハは少年時代に家族でフランスに移住した経歴を持つ。フォーデルは移民の子らしい。ま、そんな社会的背景などをくどくどと書くこともできるのだが、一つ、前提として、音楽を愛する私には、どこで生まれようが、どこで育とうが、何語だろうが、何を信仰していようが、基本的にまったく関係ない。人と歌が一対一で対峙するのに、そんなもの、関係あるか。
今日はとても「こぶしたい」気分だったのだ。訳はあるが、書くと長くなるので、訳もなくこぶしたくなっちゃった日、としておこう。