甘味処移動式
私は20年も前から「今年のトレンドは『激甘ブーム』が巻き起こる!!」と予見しているのだが、そうしたムーブメントがこの日本を席巻したとは、ついぞ記憶にない。おかしいなぁ。
私には好きな言葉がたくさんあるが、同じように忌み嫌っている言葉もある。その一つ。
「甘さ控えめ」
何てこったい。なぜ控えるのだ。甘くて美味しいものを、な〜ぜ〜、わざわざ甘くなくするのかな。そもそも、「あまい」が転じて「うまい」になったと言われているように、甘いものはうまいものなのだ。そーなのだ。
したがって、テレビ番組のリポーターなどの「今日は、人気のケーキ屋さんにお伺いしてまーす。わぁ、甘さ控えめでとっても美味しいぃ!!」というような発言を耳にすると「ふーん、この店うまさ控えめなんだな」と翻訳する。その時の俺の目つきは非情な、冷淡な、まるで元KGBかと疑うようなものだろう。
まぁ、一千億万光年歩譲ってだね、甘さ控えめ側の言い分に耳を傾けてみよう。
(言い分の例)
- だって太るじゃん
- だって甘くないほうがいっぱい食えるじゃん
- だって胸焼けするじゃん
- 男が甘いものなんて、じゃん
- ・・・
(回答の例)
- いいじゃん太れば、贅沢で
- 甘いものを大量に食えるなんて、嗚呼、何て贅沢
- 胸焼けは贅沢の証し、感謝なさい
- そんなこと言っているのこの国の男だけです、そんなじゃあ、ラテンなモテ男にはなれません
- ・・・
そのくせ、甘さ控えめを標榜する人々が、野菜や果物にはやたら甘さを求めている節があることを見逃すわけにはいかない。私はスゥイーツには甘さを求めるが、トマトや林檎には適度な酸味を第一に求める。
多分、味覚の愉悦のバランスが違うんだね。ということで控えめでない甘さ情報、随時募集中です。昼下がりにシャンパンを飲みながら、度を越した甘さのスゥイーツをいただく事が、日々のささやかな願いです。貴族っぽいな。