恋愛睡眠のすすめ


 映画を観た。


恋愛睡眠のすすめミシェル・ゴンドリー監督 2006年フランス=イタリア


 何ゆえ観たかと問われれば、シャルロット・ゲンズブールが出演しているからである。まさか、群馬県伊勢崎市においてシャルロット・ゲンズブールが出演するフランス映画を観られようとは想像もしていなかったわけである。伊勢崎万歳。


 筋書きは、異常に感受性の強い、夢と現の区別が時々つかなくなる、夢の中での体験でくたくたになって疲れ果てて会社を休む、そういうタイプの男(ガエル・ガルシア・ベルナル)が、アパルトマンの隣の部屋に越してきた女(シャルロット)にだんだん惚れていって、夢と現と恋とで、自分制御不可能な状態に陥っていっちゃう(喜劇的に)、というようなもの。


 夢と現という振れ幅に、恋という感情の振れが加わる。更に、女の感情の振れも加わる。このようにあちこち振れる映画を耐えがたく感じる人々が多いことを私はよく知っている。例えば痛快なエンディングが振れの担保となっていたり、或いは振れについての説明が劇中になされないと、ついて行くのも億劫に感じる人々が多いということも、私は非常によく知っている。つまり、ほとんどのフランス映画はそのような範疇に属するのである。


 しかしだ、こちとら、人生って色だろ、艶だろ、って気で、シャルロット・ゲンズブールと恋仲になりたい妄想満々の恋狂い歴20年なのだから、楽しめる。アパルトマンの隣の部屋に越してきた女は口説かなければならない。それは、そーしなければいけない。でなきゃドラマにならねーよ。それがシャルロット・ゲンズブールであったら、ストーカーまがいの破廉恥行為に及ぶ変態野郎と化す可能性を誰が否定できようか、否。愛、当たって砕けろ。


 まぁ、人生って、ビルの爆破だろ、カーチェイスだろ、悪を滅ぼすことだろ、という人には、見る必要のない映画です。


 俺の文より観たほうが余程早いし、楽しめるよ。俺は「可愛い」を比較的解さない男だと思うけれど、そんな俺にも可愛いなと感じるファンシーな映像や小道具も満載だよ。他の作品も見たくなる監督でした。