ロックと老い
年を取り、事故や特定の病気でなく自然死することを老衰と呼ぶ。未だロック・ミュージシャンに老衰死したものはいないらしい。歴史が浅いのだ。しかも破滅型の人材が多く輩出されてきたこともありイメージが湧かない。
ロックが、1960年代以降に本格的な隆盛を見たとすると、当時20歳くらいだった青年は1940年代生まれということになり、老衰っていうとおそらく90歳過ぎだろうから、2030年代以降でないとロック・ミュージシャンの老衰死にはなかなか出会えないだろう。まだまだ先のことだ。
まぁ、ロックといったって必ずしも若者の独占的な音楽ではなかろうし、1960年代に齢60歳にして、これぞわしの求めていた音楽じゃ、と開眼したロッカーも世界各地にいなくはなかっただろうと推察すると、実際には既に老衰死したロッカーもいるのかもしれない。そうした民衆の歴史はなかなか表に出ないだけなのだ。大河ドラマだって15世紀の一農民を主人公にはしないだろう。
とにかく、そんなわけで人生1サイクルの歴史すらないロックであるから、可能性もまだまだ残されているだろう。老いたミュージシャンの心の叫びなんて聞きたいじゃあないか。
主要テーマ例
- 老いらくの恋
- うーん、若い娘はいい
- 若い頃の俺はお盛んだったんだぜ
- 若い頃捨てた女が今、妙に恋しい
- 国家よ、俺に年金を支払え、加入はしていなかったが(だって俺、ロッカーだもん)
- 若い者の言う事は聞かねえ、絶対聞かねー
- 金ならある
- この歳になると保守主義もよいものだと思える
- 孫が
- 健康のためならロックなんてやめられる
- 死にたくない
- ・・・
これはある意味、一人の人間のリアルな心の叫びであり、来るべき高齢化社会ではそのジェネレーションへのメッセージになる得ると思うのだが。中年以上のロッカーよ、往年のヒットやら懐メロやら歌ってる場合じゃあない。今の自分を描け。死ぬまで。
だが、Dr.中松によると、確かドクターの発明品によって人は144歳まで軽く生きられるはずなので、それによれば現在70代の現役ロッカーですら、まだまだ人生の折り返し点くらいのものだ。