古い曲

通りの向こう、果てを見る



 若い頃の自分の姿は思い返すとなかなか恥ずかしかったりする。馬鹿で愚かで未熟者で。ん、今も少しも変わらないか。しかし、おっさんの自分の姿も、若い日の自分が見たなら反吐が出るかもしれぬ。人生とは望むようにはいかないものだ。己に背かず生きてきたとか、嘘をついたことはないとか、裏切ったことはないとか、言えません。そうやって立ち回った心当たりがあります。あ、懺悔して免罪されようというコーナーではないよ。


 凄く若い頃の自分が書いた曲があって、この夏、どういうわけか、人前で演奏するきっかけがあり、どういう心境かその曲を歌ってみようと思ったのでした。その曲は、書いた当時の自分には意味がよくわからなかったりしたところがあって(なぜかそういうものができちまったのだった)、長い間、対話しつづけたというか、ふと思い浮かぶたび、気の向くたび、添削しつづけたというか、そういう曲だ。


 今ではその曲の意味を説明できる。添削したし。曲中の主人公は俺本人かもしれないし、そうでないのかもしれないが、どちらにせよ、書いたのは俺なので、その中には、若い日の自分も、今の自分も、住んでいる。いろんな心当たりを行間に込めている。そしてもうこうなれば、俺と共にこの曲は終わりなく変わり続けるのだろう。ある日、音楽というものからすっぱり足を洗って「もう忘れたよ」なんて言う日が来るとすれば別だがね。


 ラフな編成で、ラフな演奏で、凝った演出などなく録音してみた(総録音時間:半日)。きっと、また思いついたときにこの歌の歌詞は変わるのだろうし、行間に込める心当たりも変わっていくのだろうから、そんな方法がふさわしいと思ったのだ。人生は日々、終末に向かい緩慢に進行している。悲しみも喜びもあるが、だが、私は悲観しない。ただ、ときどき歌います。


 よかったらお聴きください。



「通りの向こう、果てを見る」


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移動式音楽班 おとのせかい