週報


 なんとなく慌しかったな。


 モロッコ料理を食う。モロッコ料理屋が住処の近郊にあったのだ。モロッコ、行ったことない。けれど、初めて海外旅行に行こうと思い立ったとき(それは随分と昔のことである)、一瞬頭の片隅に浮かんだところの一つだ。いつか行ってみたいね。



 モロッコ料理、というかあの辺り、マグレブを代表する料理といえばクスクスだろうか。粒状のパスタを蒸し、煮込んだシチューなどをかけていただく。粒状パスタが胃の中で膨張するものか、食い過ぎると食後死にそうになる。胃が膨れて。その特性を生かし、私は貧乏学生時代などよく自分でクスクスを作った。


 クスクスの粒はうんと安いものでもなかったが、そう高いものでもなかった。いろんな調理法を試したものだが、姉が読んでいた雑誌に載っていた、今パリで大人気!クスクス特集!!、のような記事を見て極めてテキトーに作成したクスクスとミントの葉のサラダは全部食えなかった。まじくって。確かその両者を和えただけだったような記憶がある。今だったらもっとマシに作れるだろうが、当時はまだポッと出の駆け出しだったもので。


 東京に住んでいた時代、アフリカ料理屋で度々クスクスを食った。有名な(高くて)店のものも食ったし、陽気なアフリカ人が勘定にビールを載せ忘れるので非常に安く済む店もあった。いろいろあった。


 などと記憶を遡りながら午後のひととき、クスクスを食い、アラブ式のチャイをガブ飲みし過ごす。




 楽器、いろいろと弾いてみている。ギター、4弦だけでサウンドになるものか試してみた。意外と良い。録音した。


 エジプトで入手した竪琴、ガゼルの角などで出来ているものでかなり崩壊しつつあるものだが、完全に崩壊する前に録音しておこうと思い立ち、先日、誤って購入してしまったテナー・ウクレレの弦を強引に取り付ける。意外と良い。これから録音します。



 私の暮す町は人口の割にパチンコ屋が多いな、と思っていたが(私はまったくやらない)、そのうちの二軒が知らぬ間に潰れていた事を知る。イスラム寺院の尖塔を模した造形を施されたスロット・アラジン様、及び、「出るだだか出ねーだだか知らねーけどもよー(ある地元民談)」と語られていた、でるでるランドなるパチンコ屋跡を継いだデル・ピエロ様である(ユベントスデル・ピエロとは無論、無関係であろう)。実に、この地域の知性を代弁するかのような、ある種のイコンのような存在と目していただけに、惜しいな。


 あ、知性の知の字、間違えてるよ。