こびりつく歌


 こたつに入り、茶を飲みながら、ぼさっとテレビを眺めていると、韓国ドラマをやっている。茶を飲み終わるまでこのままぼさっとしちゃうぞと決意し、そのままぼさっと韓国ドラマ視聴を継続する。無論、連続ドラマのこれまでの筋立てなど知るもんか。


 すると劇中、イカシた風体の親父が、なにやら劇中歌を歌いだした。軽快なアップテンポの歌謡ナンバーである。



 ♪チャッチャッチャ サランハムニダ(愛しています)チャッチャッチャ ・・・ハムニダ



 当然、ハングンマルに何の素養もない私に歌詞詳細を聞き取れるわけがない。まったく、せめて譜でも載せたいものだが、とにかく、耳にこびりついて困る歌謡だったのだ。「チャッチャッチャ」などという擬音らしきもので歌詞が始まるのも珍妙ならば、なんとかハムニダという歌詞が、妙に字余りちっくになっているところにも好感が持てる。再放送があるらしいので、このような佳曲は録画せねばなるまい(BS日テレ オーバー・ザ・レインボー)。


 どうしても耳にこびりついて離れない音楽というものがどうしてもある。韓国繋がりで連想すると、昨年、ソウルを訪れたとき、ソウル旧駅舎(文化財である)前の路上で、年配のおっさんがカラオケマイクを手に熱唱していた歌が強力だった。



 ♪オトシ〜ハッチェチュ〜、オトシ〜ハッチェチュ〜・・・



 と、歌っているように聞こえた。まったく、せめて譜でも載せたいものだ。因みにその歌をおっさんの前で聞いていたのは、私と、もう一人の年配のおっさんだけであった。人気ねーな。なぜ往来で熱唱していたのかはまったく不明であった。そんなややこしいこと。


 子供の頃のTVCMの曲なども、ときどき思い出すと一日中頭の中を渦巻いて困っちゃうことがある。



 ♪いやいやイヤ〜ン、いやいやイヤ〜ン、家具はコマツでなくちゃイヤ〜ン



 小松家具の歌である。ローカルです。本当に譜でも載せたいものだ。


 さて、韓国ドラマで劇中歌を熱唱していたイカシた風体の親父であるが、劇中、熱唱中に突然倒れ、病院に運ばれたがそのまま亡くなってしまった。親父がどうやら主人公の父だということが葬式のシーンで分かったところでティー・タイムは終了となったのである。