マイク周辺


 素人音楽家(私のことです)、マイクを買うことにした。


 今使っているマイクだが、10年以上も使っている。SHUREの、品番がよくわからん安いダイナミック・マイクで、楽器屋の店員に「歌も楽器も録音します」と告げたら「これどうぞ」と渡されたものだ。音は最初から気に入っていない。ハイもローも出ない。歌は、性別声質声量いろいろあるだろうから評価は避けるが、楽器には向いてねーぞ。にも関わらず、10年以上も使ってしまった。


 そりゃあ、原音に忠実でありながらクリアー&キラキラ感かつ温もりのある音で録音できればそれは素晴らしい。まったくそれに当てはまらんマイクだが、どうせ録音した音にエフェクトをかけまくるし(趣味です)、ま、いいじゃんこれでも、と己に言い聞かせつつ今日まで来た。


 それにしてもそろそろ変え時だ。つらつらとこのマイクについて考える度、良いところは丈夫に今日まで生きてきたことかな、くらいしか思い当たらない。ありがとう、もう、潮時だよ。さて、何を導入するかだ。


 昨年、十数年ぶりにライヴとかスタジオで音を出すとかやってみて、SHUREのSM57というマイクの音が非常にしっくり来た覚えがあった。どうも楽器用の定番マイクとして評価が高く、価格も高くもなく、好んで歌に使う人もいるという、実に私の思惑と合致するマイクだということが各種リサーチによって窺えた。


 でも買わなーい。


 私が求めているのは、大概「良くない」「それなり」「ビミョー」などと言う評価の中で、一人だけが「使い方によっては面白い」などと評しているような一本である。私自身、そうした一人でいたいものだし「使い方によっては面白い」を見つけたい。SM57は安定して評価が高い。それは次の機会に譲ろう。


 というわけで、そんな一本を物色し購入した。素人なので低価格のもので充分である。ついでにマイクスタンドも購入した。今までは自作のマイクスタンドを使用していたのだ。


 この自作マイクスタンドについて語ると、これがまた話が長くなるのだが、あぐらをかいて座って楽器を弾いた状態、及び歌った状態に最適化された、ネジのついた幾つかの短い鉄管をジョイントするというインダストリアルな工作物である。それだけだと見た目が無粋なので、永ちゃんのように白いビニールテープも巻いてみてある。


 この工作物が私の書斎に出現した際、家人の「ねー、コレ、ナニ?」という疑問符と、それに続き失笑・嘲笑・爆笑がこだましたことは、私のハートを深く傷つけたものだ。あ、いてっ。


 新しいマイクのホルダーのネジがこの自作スタンドのネジと一致しないので、ネジ径変換ジョイントを購入するのも阿呆らしく、スタンドも購入したというわけ。よって、自作インダストリアル永ちゃん風スタンドもお払い箱である。あー、そうだ。自作インダストリアル工作物に白いビニールテープは巻かない方がよろしい。結局、更にどうしようもなく無粋になる。


 ん?で、どんな、なんというマイクを購入したかは書かなーい。たいていの人が良くないと言っているマイクの品番など書くものか。到着が楽しみである。


 そして、まぁ、一年くらい経って、結局SM57を購入していたにしても、人生、勉強であーる。