厳寒の中、喰らう


 韓国ソウルを訪れたのは二度目であるが、初めて訪れたとき、食事の量が多いな、という印象を受けた覚えがある。


 ちょっと朝飯に麺と餃子でも食うか、と入った店で、餃子といっても円型で小ぶりな饅頭くらいあるものが、せいろにきれいに3-4-3のフォーメーションで並べられて供された時には、そのオランダサッカーを彷彿とさせる攻撃的な布陣の前に、瞬時に萎えたものだ。食べ放題などでも、一度に阿呆のようにたくさん取ってくると視覚で満腹になるというではないか。


 もともと私は大食漢ではないので、食の面で異文化と接する時には、一品は少量で、いろいろなものを食せられるとありがたい。第一回の韓国は私に厳しく、かつて訪れた台湾の屋台における小吃(シャオチー)などは私に丁度良い(大食漢には恐ろしく少なかろう)。食事代の話は別としてです。


 さて、そんな印象もあり、この日のために年末年始の暴飲暴食も控え、万全の仕上がりでこの連戦に挑んだのだ。ソウル滞在中、最低気温はマイナス10度くらいだったらしい。やってらんね。胃にぬくもりが、必要なのだ。




 炸醤(ジャージャー)麺。韓国語で何というのかよくわからん。ジャジャミョンか、チャジャンミョンか。まぜまぜして食う。見かけほど味は濃ゆくなく、日本で食う北京式(なの?)のジャージャー麺ほど甘ったるくもなく食いやすい(私は甘いものは好きだが、甘い料理は苦手だ)。う・美味い。




 屋台、こんな感じでした。ここで食ってないけれど。




 タラと白子の鍋。具は他に豆腐、川海老、豆もやし、ネギ、セリのような草。韓国語で何というのかよくわからん。テグタンか、メウンタンか。はふはふしながら食う。見かけほど猛烈に辛くはないが、相当量の白子とタラの身が口中で炸裂し、狂喜すること請け合いだ。う・う・美味い。




 薄切り牛肉、牛の出汁、米、ソーメンが交響楽を奏でるスープ、ソルロンタン。非常に薄味で出汁の旨みを楽しめる。薬味の葱、塩やキムチを投入し味に変化をつけるのもよい。う・う〜ん、美味い。




 鯛焼き&オヤジ。鯛焼き、プンオッパンとか何とかいうと伺った。日本より甘さ控えめながら、薄い皮がパリパリしていて、ぎっしり詰まった餡がうめぇ!美味すぎるっ!やべぇ、これ止まんないっすよ!!




 幌馬車式構造の屋台(ポジャンマチャ)料理。ビニールの幌の中に客を収容できるようになっており、中ではストーブが焚かれ暖かい。で、ムール貝は私の好物だ。止まらなくなる。こりゃまたシンプルで美味い。焼酎は好物ではないが記念に飲む。帰りに、このグラスいいねぇ、くれ、などと言ってみたら軽くくれた。やった!



 こんな調子で、街を闊歩し、韓国料理を中心にいろいろと食った訳である。今回は、薄味で素材を生かした料理が多いのだな、という印象を持った。日本で韓国料理を食っていて覚えたことのない感覚で、意外な、新鮮な気分になりました。肉料理や3-4-3フォーメーションの餃子などに挑まなければ、しっかりと三食&おやつ間食まで楽しめるんだなぁ。