ホモス
2月の終わりごろ、ネットでニュースを拾い読みしていて「おや?」と思った。
シリア原子力委員会のイブラヒム・オトマン長官は24日、国際原子力機関(IAEA)の会合で、過去にウランが検出された東部ダイールアルゾール(アルキバル)に軍事ミサイル施設を建設したことを明らかにした。会合に出席した関係筋がCNNに語った。
シリアの核開発疑惑は以前から度々浮上している。ダイールアルゾールの施設は2007年9月、イスラエルの空爆で破壊された。IAEAが先週発表した報告書によると、シリアは施設跡地から検出されたウランが、施設の建物を破壊したイスラエルのミサイルに由来するものだと主張。イスラエルはシリアの主張を否定している。
ダイールアルゾール Dayr Az Zawr(以下ダイルアッゾウルと綴ってみる)という町へは、昔、訪れたことがある。ユーフラテス川沿いの、特に観光客が見るようなものは何にもない町だと思ったが、あんなところにそんな遠くへ飛ばすような攻撃的な、そして他国から攻撃されるようなとんがった施設があるのかね?
そういうときはグーグル・マップである。趣味グーグル・マップ。
この辺がダイルアッゾウルだ。
バスターミナルらしき施設(7という幹線道路を西南西方向に辿った町外れ)や、ユーフラテス川にかかる橋を渡ってみたことなど、思い出されるものもあるが、街の様子など、どこに泊まり、どこで飯を食ったかなど、上から見てもさっぱりわからん。ましてミサイル施設やら核関連施設などが、あの垢抜けない、言葉の通じない(当たり前だ)、子供に石を投げられる、髭の大人に原因不明の件で怒られる、ろくなレストランがない、そんな麗しい思い出に染まったあの町のどこに存在するのか、さっぱりわからん。
記事のアルキバルという地名がポイントなのだろうか。グーグルマップの検索窓にAl-Kibarと打ち込んでみる。おお!
ダイルアッゾウルの北西、こりゃ町からかなり離れているではないか。ダイルアッゾウル地方にあるということなわけだ、で、納得。
納得ついでにダイルアッゾウルで食った料理を作ってみることにした。どう納得するとミサイル基地探索がお料理行動に結び付くのか、その辺は説明できません。
白っぽいのがそれである。ひよこ豆(ガルバンゾー)のディップである。当地で英語を喋る町人に「典型的なシリアの朝食を食いたいのだが」と尋ねてみると、さして広くない、非常に庶民的な、軽食屋的な風情の店に案内された。そこで「これがシリア人の典型的な朝飯のホモスだ。食うがいい」などと勧められたものである。紙のように薄っぺらく平たいパンをちぎり、すくい取るようにして食った。
そんな記憶が蘇るぜ。まぁ、私の作をダイルアッゾウル町人に食わせたら「なっちゃいない」と言われるのがオチだろうが、私的には初めて作ったにしてはよく出来ている気がする。ちなみにダイルアッゾウルでは、最初は「わー美味いゾ、やっぱ庶民の味だネ」などと無邪気に食っていたが、ただひたすらに大量のホモスと紙パンだけを食ったため、さすがに途中で飽きた。作ってみた実感として、一人前は豆半カップ弱ってもんだな。あの朝は多分2カップくらい食ったと思う(2カップで写真の倍以上できます)。
ちなみに赤いのはカリフラワーのムサカというトルコ料理である。ホモス作りと並行して適当に作っていたら煮すぎたようです。カリフラワーがほとんど原形を留めずに溶けた。
全般的ににひどい町だったが(石投げられたり原因不明の怒りを買ったり)、平穏であって欲しいと、それは思う。