夏の訪れ
一体、実に久しぶりのことである。曲が出来た。
曲が出来ないと、この日報の記述も豆料理とか、肉料理とか、目指せブルガリア人とか、本人の志ベクトルとは、やや向きの違う記述ばかりとなってしまう傾向は否めない。おつきあい下さる方々には深く御礼申し上げる次第でございまする。
さて、先日もひよこ豆と米をキャセロール皿に入れ、オーブンに投入して炊き上げるという豆飯をこしらえたばかりなのだが、そんなことは少しも問題ではないのである。曲が出来たのである。よろしかったらお聴きください。
夏の訪れ 路傍に散るもののシャンソン/移動式音楽班
ドビュッシーの「民謡を主題としたスコットランド風行進曲」のメロディ(の一部)をカバーしています。ドビュッシーにもスコットランドにも何ら無縁の私ですが、昔、CDプレイヤーを初めて入手した時、プレイヤーがあってもCDが一枚もねーよ、何でもいいからCD買ってこよ、と購入したCDに入っていた曲でした。
いつかカバーしようと思いながら、手をつけては放置を繰り返してきた期間は長い。考えてみるがよい。CDプレイヤーが市場一般に出回ってから一体およそ幾年月過ぎようことぞ。しかし、なかなか気に入る言葉を乗せられずに時は流れたのじゃ。
そう、時は流れたのじゃ。
もともと、カバーしようと思った動機が「スコットランド風」というものにあったとしたら、私自身はどこそこ風のものを目指すことにもう興味がない。それは豆料理などで実現すればよい。私も変わったのじゃ。
技術的にアレな私が語るのも何なのだが、私の宅録の醍醐味でありますが、いくつかの音を重ねているうちに、それが生き物のようなうねりを生み出す瞬間のようなものがあって、しばらく、一年か二年か、それを目指してかなりの音数を重ねる遊びにはまっていた。
ベーシストになればあっという間に解決できる衝動な気もするが、私はその遊びが気に入っている。筒状のものをぷわーっと吹いたり、口琴をびよんびよんと弾いたり、弓で弦をぎーっと擦ったりと、まぁ、こうして書くと非常に幼稚な記述(ぷわー、びよんびよん、ぎーっ)に収まって驚いたりするが、とにかく、それらを重ねているうちに音が生き物のように感じられることがあるのです。やってみ。ほんとよ。
で、しかし、久しぶりにちょっと趣向を変え、やや小ざっぱり弾こうと思い立ちプレイしています。ちょっとしたリフレッシュなのかもしれない。小ざっぱり編成で、どんな音が出せるかという確認かもしれない。
しかし、そうは言っても、のたうちまわる音の生き物への憧憬はすっかり私の身体に染み着いているようで、ところどころ、そうした風情が顔を覗かせる局面もあったかとも思いますが、全般に導入する楽器を減らして挑んでいます(前年比2割減)。ギターとマンドリンと笛が主体なので、我が楽団の基本編成という感じもします。どんな形であれ、私が求めているのは、何か、熱を帯びたものなのでしょう。そこのところ、時が流れ私が変わったのか、変わらないのか、それは私しか知らない。私だけが知っていればよい。ここに投げ出された、大して上手でもない演奏だけがすべてで、それでよい。
そして、お好みの雰囲気で味わっていただけると幸いなことです。
- アーティスト: マルティノン(ジャン),ドビュッシー,フランス国立放送局管弦楽団
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2005/03/02
- メディア: CD
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