梅雨時の出来事


1.
 健康診断で胃カメラを飲む。三年連続三度目の胃カメラである。今年は過去二回とは違う病院で臨んだのだが、実に、最も苦しかった。あんなものがよく喉を通って胃まで降りて行くものだぜ。泣いちゃったぜ。ひどい慢性胃炎だそうだぜ。確かに胃がのべつ苦しいと言えば苦しい。来年も飲むよう勧められる。また、泣いちゃうぜ。泣いちゃわなかったことなんてないぜ。一息に綴ったぜ。



2.
 ヨーグルトを自分ちで作るようになり、菌の不思議を実感する毎日である。消費量を計算すると、世界第二位とされるオランダ人一人当たりの年間消費量を優に上回り、世界第一位とされるブルガリア人のそれに迫る勢いである。まぁ、365日、毎日100グラム程度食えばそのくらいになるのだが。


 ということで、更に菌の不思議を実感しようと、久々にパンを作ってみることにした。西アジアとかギリシャとかで食われる、丸く平べったい奴。


 以前、全粒粉でできたインド風パン(チャパティ)作りに凝った時代があったのだが、もう何年もパンなど自作していない。それにチャパティは発酵させたりしないので、菌の不思議を感じるパン作りは驚くほど久しぶりだ。


 小麦粉にイースト菌と塩を混ぜ、水を加え捏ねる。丸めて放置しておくとぽわんと膨らんでいる。まったく何でこんなことになるのだろうなぁ。愉快だなぁ。突っついてみると、生地の中から発生するガスの作用で弾力のあるぼよ〜んとした手応えが返ってくる。愉快だなぁ。指突っ込んじゃおう。ぶす。もいじゃおう。ぶち、ぶち(本当はそんな音はしません)。


 小分けにもいだものを丸く延ばし(これが丸くならないのだが)、フライパンで焼く。フライパンで出来るところが平べったいパンのお気軽な魅力だ。武骨だがなかなか美味い。菌の不思議。また作ろう。



3.
 何のためにやっているのかよくわからないのだが、Myspaceのアカウントを持っている。ときどき(稀に)、世界のどこかから私を見つけてメッセージを送っていただいたり、コメントしていただいたりする方がいる。本当にありがたいことです。


 ある日、アルヘンティナのロックンローラーが、私のところにコメントしてくれた。スペイン語で。


 「困ったな、スペイン語だけはわからねぇんだよ」と呟いてみる。


 本当は日本語以外わからないのだが、こういう場合は自分を少しでも高く売ろう。


 さて、そんな時にはgoogle先生の自動翻訳の出番である。コメントをコピペして、スペイン語から日本語へいざ変換だ。そりゃ!



>ありがとう!
>音楽コミュニケーションとは、距離を襲っている変態です!
>転送する!



 先生・・・。
 まぁ、先生が音楽コミュニケーションとは(主語)、変態です!(述語)と言い切られるのなら、そうなのでしょう。しかも距離を襲っているのですから、あんまり離れた者同士ですと襲撃される危険大なのですね。で、とどめに、転送する!と快活に、一方的に申されましても、既に先生についていけましぇん。


 というわけで、アルヘンティナのロッカーへの好感度が激増した。


 音楽コミュニケーションとは、距離を襲っている変態です!と、手持ちの音楽道具のどこかにでもマッキーの油性マジックの太い方で書いておこう。絶対そうしよう。今からやろう。


 今日のところ以上。