「え」はエロティックの「え」


 カバーしてみたい曲をアーティスト50音順にあげていくという連載もとうとう「え」まで来た。東京を出た列車が、既に青函トンネルの辺に差し掛かったって感じだ。


 さて「え」であるが、単刀直入に言って思い浮かばないのである。好きなアーティストの好きな曲はあるが、脳内カバーしてみたいと思うほどの対象が思い浮かばないのである。そんな中で一つ。


 「え」といえば、エマニエル夫人だろ。



エマニエル夫人



 一度聴けば妙にひっかかる旋律なのだ。ピエール・バシュレ作。


 70年代に大ブームとなったエマニエル夫人の映画としての良さは今一つわからないのだが、曲は好きだ。


 エマニエル夫人と言えば、裸で足を組んで籐の椅子に腰かけている妖しいマダムなのだが、私は主題歌の日本盤7"EPを所有しており(以前、骨董屋で100円で買った)、そのジャケはマダムのその縦長写真を二つ折りにした、展開すると通常ジャケの2倍長くなるもので、実は私はエマニエル夫人のサントラCDまで所有していたりもするのだが、そのCDジャケにちっこく写っているマダムの写真よりも、ずっと見応えがあって良いと思うのである。あ、曲とは関係のない思い入れだね。


 ちなみに日本盤7"EPはアンヌ・アンデルセンというカナダ人女性が歌っている(A面日本語、B面仏語)。


 まぁ、ミラーボールが回る中、貴女とチークを踊りたい、というような、俺の最も苦手とする、前に出過ぎない、ぼんやりゆらゆらした感じなんか良いんじゃないかな。曲の存在が濃すぎて、どうやってもネタっぽくなりそうだが。



 「え」といえば、続・エマニエル夫人だろ。


続・エマニエル夫人


 こちらの主題歌は巨匠フランシス・レイ様である。巨匠の起用から、1のヒットで製作費増となった気配が伺える。が、あんまりカバーしたいという気にはならない曲だ。なんか、文芸映画寄りなセンスを感じてしまう(巨匠批判)。


 ちなみにサントラCD購入は悩んだのだが、近所の中古CD屋で、ホームセンターのワゴンの中などに入って格安販売されてるっぽいフランシス・レイ・ベストみたいなCDに収録されているものを入手できたので、コレクション的にはそれで良いことにした。



 「え」といえば、さよならエマニエル夫人だろ。


さよならエマニエル夫人


 こちらの主題歌はムッシュウ、セルジュ・ゲンズブールその人である。もう毒をもって毒を制するって感じだな。サウンド的に割と節操のない人だが、レゲエである。なんか、隙だらけなのだが、飛び込むと返り討ちに合いそうな、そこがムッシュウを永遠の異端者たらしめる凄いところである。怖くて近寄れん。


 ちなみにサントラCD購入を検討したことは一度もなく、ムッシュウのエロティックな曲ばかりを集めた編集版に収録されていたもので十分な満足感を得た。


 まぁ、3曲まとめて1つにすることも選択肢の一つだろう。こんなに夫人のことが好きなんだから。


 続く。次は「お」。おぉ。