我が愛のイニシャルB


 最近、毛先が拡がってモワンモワンになってしまった歯ブラシを元に戻す方法を知ってしまった。おお、なんと有益な。しかし、この日報には無益なことしか記さないという方針を貫いているので、モワンモワンになった歯ブラシを再生して、一本で一生過ごしたいぜ俺、という方は、どうか自分で調べてみてください。


 さて、カバーしてみたら素敵そうな曲を取り上げてみている。今回は“B”で始まるアーティストの楽曲が対象である。


 イニシャルBにはビッグネームが多い。列挙するのも面倒なのだが、例えば、ボブ・ディランビーチ・ボーイズボン・ジョヴィブラック・アイド・ピーズブリトニー・スピアーズビヨンセ、ベック、ボブ・マーリービースティ・ボーイズビートルズブライアン・イーノ、ブライアン・フェリー(ロキシー・ミュージックには二人のブライアンがいたことに今更気付く)、ビョーク、ブラー、ベル&セバスチャン、ブッケ・ヴェッセルトフト、ボリス・ヴィアン、バルカン・ビート・ボックス、伴淳三郎、尾藤イサオ、ベッツィ&クリス、BoA、B'z、Berryz工房、そしてベートーベン、更にバッハらが挙げられよう。ん?ファースト・ネームとファミリー・ネームの混在は気にしちゃあいけない。しかも、中にはビッグ・ネームとは言えないだろう方々も混じっている気がするが、そんな非礼なこと、誰とは言えません。あと、中にはまったく聴いたこともない、或いは、まったく好きでもなんでもない方々も混じっているが、そんな非礼なこと、誰とは言えません。


 というわけで。



Bruce Springsteen - Backstreets


 私はガキんちょの頃、この人の音楽を聴いてガキんちょなりに人生が変わった。ロックンロールというものは右も左も分からんガキんちょの人生を変える。素晴らしいことだ。見よ、この素晴らしさ。これが問答無用のロックンロールだ。日本国内においても、主に80年代に、あの人や、あの人や、あの人など、夥しいフォロワーを生み出すことになったわけだ。最近の曲を聴くことはなくなったが、この人は良い曲を作り続ける人だと確信している。そのうち、機会があれば聴きたいと思う。


 アメリカの、アメリカなロックなのだが、白いロックと言えましょう。思い切ってワープすればヨーロッパの軽快なステップなどにつながるはずで(アメリカは移民の国だからね)、タンバリンなどを野卑に叩き、リュートのような弦楽器をべれべれ鳴らし、そのくせ、哀愁のリリシズムを湛えた編曲など、合いそうではないだろうか。



Bauhaus - Terror Couple Kill Colonel


 熱心なファンという訳でもなかったが、ポスト・パンクの中で特に好みの音だった。暗くて重くて冷たくてギラッと光る音。持っていたレコードはよく聴いた。カバーしたいというより、無性にこういう音を鳴らしたくなる時がある。黒い服着てさ。しかし、その為にはバンドを結成せねばなるまい。すると、私は常時こういう音を鳴らしたいとも思っていないので、しばらく活動して満足の後、「あばよ、楽しかったよ」の書き置きを残し(直接言ったらギターで殴られそうなので)、速攻で脱退するであろう。非常に身勝手である。まるで悪い男の見本のようだ。


 仕方がない、では、自分一人で仕上げるか。ギターは自分で弾きます。ドラムスは機械でいーよ、無機的方向へ行くよ。となると、ベースが問題になる。エレキベース持っていないのだ。で、持っていない理由は、持っていると、こういう音楽をやりたくなるだろうからなのだ。堂々巡りなのだ!


 再結成しているらしいが、こちらも人生遠いところまで来ちゃってるので、後戻りはできません。そういえばこの人たちのあんなカバー曲や、こんなカバー曲も非常に良いね。



Brigitte Fontaine - L'été L'été


 学生の時、仲の良かった友人に聴かせてもらったのが最初だったと思うのだが、とにかく「?」だった。後に物凄くハマった。その頃は既に妖怪のような出で立ちで、ホネホネの身体に頭はヴェリィ・ショート、黒ずくめの衣装で歌う様子は、小さなお子様などには決して見せてはいけないだろうと思われた。きょ、きょわい!って感じだった(怖いって意味です)。今では、更に妖怪のような婆あに軽く最強パワーアップしていて、小さなお子様などには「見ちゃ駄目っ!石になるっ!!」というような注意喚起が必要(尊敬しているという意味です)。


 ラジオのようにがもちろん代表曲なのですが、本人もGenre Humainというアルバムで別バージョンを発表していたり、我が永遠の女神、戸川の純ちゃんによるカバーがあったり、良い曲にはそれなりに手垢がつくものです。味です。


 密林のようなビートに叫ぶようなポエトリーリーディング、というような曲を作ってみたいと思っているのだが、この辺の影響でしょう。



Bo Gumbos - トンネル抜けて


 まったく、言葉で表現できぬほど素晴らしい。宇宙的な、神話的な一曲。日本史に書き加えるべき傑作である。Little Creaturesが弾いてUAが歌うというカバーもあるが(凄く良い)、今回映像を拾っていていろんな人が演っているということを知った。良い曲にはそれなりに手垢が付くものです。味です。


また、どんと自身のギター弾き語り映像も見つけた。素晴らしい。


 私は車の中で、鼻歌ア・カペラ絶唱することがあるのだが、この曲もレパートリーの一部である。そんな感じで良い。無論、そんな鼻歌ア・カペラを録音機に吹き込むことなどなかろうから、俺マイベスト鼻歌ア・カペラ絶唱集ライブ@車内のようなものが編集されることもない。しかし、それは私とともに潜在的に存在するのである。音楽は生まれ、消えていけばよいのである。


 次回“C”で始まる。