リコリスという花の歌

リコリス/歌謡渡来一味内蔵



 歌謡渡来一味内蔵というユニットの構成員である。


 ここまでの活動の歩みを振り返ると、嘉手苅みばさんというチャーミングなレディーがお作りになった歌を、私が演奏して、彼女に歌ってもらうという、単純に言うとそんな役割分担である。


 で、そんな一味の新しい曲を公開させていただきました。よろしかったらお聴きください。



リコリス/歌謡渡来一味内蔵



 さて。私は人様がお作りになった曲をアレンジして演奏することが、とても好きだ。そこには自分が作った曲に対する態度とは、少々異なる楽しみがある。この楽しみを何かに例えると、賭け、のようなものに近いのかもしれない。ギャンブル。ちなみに私は全般的に博打はやらない。


 私は西洋音楽の専門的な訓練を受けて来た訳ではないので、アレンジなどというのもどうかと思うのだが、まぁ、雰囲気作りというか、仕掛けというか、そのあたりの方向付け作業の結果、原曲の作者が受け入れてくれるのか拒絶するのか、自分でも判断のつき辛いギリギリのものを、悪戯っぽく提示するのが好きなのだ。賭けでしょ。


 幸いにして、私が出会ってきた方々は、心が寛大な方が多くて、私の悪戯を面白がってくれた場合がほとんどだったと信じるが、いや、私が気付かないだけで、本当は内心煮えくりかえっている方もいらっしゃるのかもしれない。賭けだね。


 で、このユニットの話であるが、当然、ここでも私は常に賭けている。マジで悪戯をやっているつもりである。幸いにしていつもそこに歌を吹き込んでいただいているので、その度に私は薄っぺらい胸を撫で下ろすのだ。よかった怒られなくて。


 そして賭けであるから、賭したものが大きければリターンも大きいのは基本である。だから面白い。もちろん、逆もまた賭けの真理であるので、そりゃルーザーになりたいわけではないので、出来る限りのことはしたいのです。


 導入した道具と、珍しく作り方を記してみます。



 ●キック:sx stompbox, ellis stompbox

 この2台のストンプボックスでは、ellisの方が圧倒的に音が良い。アナログミキサーにラインで突っ込んで、ハイを超カットして、ローを超ブーストして、そこからオーディオインターフェイスへ送り録音する。sxの方はラインの途中にエフェクターを挟んでローをブーストしたものを録音する。どちらの音も単発ではちょっと厚みに欠けたのでブレンドした。同じパターンの繰り返し。


 ●ベース:GarageBandのソフトウェア音源を二種類、ポルタメントを深めにしたもの。チェロ弦張ったギターをループマシン(BOSS RC-50)に取り込んだもの。すべて4小節の同じラインを繰り返しているだけ。以上をブレンドしたり単独で鳴らしたり。


 ●クラシック・ギター:オープンチューニングで弾いているので、どんなコードを弾いているのか正確なところはわかりません。


 ●エレキ・ギター:ソロではボトルネックバーを小指に装着。オーバードライブとフランジャーでメタリックな音に。


 ●鍵盤ハーモニカ:特に語ることもないが、一応リフ的なフレーズを奏でている。


 ●時々ポリリズム的なリズム隊:sx stompbox(エフェクターと共に)、ドーラック(インドの両面太鼓)、デフ(トルコのタンバリン)、プーイリ(ハワイのスリットの入った竹筒)、ボンゴ、親指ピアノ


 ●効果音その1:チェロ弦ギターをループマシンに取り込んだものを逆回転再生しピッチシフターで音高調整。


 ●効果音その2:とっても簡素なガムラン的な構造を導入した不安定な男声コーラス(=俺)



 どなたの参考にもならないと思いますが、マジな悪戯の設計図概略である。そしてそこにツヤっとした歌を吹き込んでもらって、ニヤっとして編集した結果、花のような音楽になっていればよいのだが。