ウォッシュタブ・ベースを作る(そのニ)
ウォッシュタブ・ベースの核心部分である金たらいを求めて渋谷、東急ハンズまで来た。洗濯用品は2B売り場でございます。すてすて階段を上って下りる(構造が複雑なフロアなのだ)。あっさりあった。が、微妙にアメリカンブリキ金たらいのイメージと違う。トタンって書いてあるし、口径は何種類もあるのだが、どれも深さ(高さ)が浅い(低い)気がする。とはいえ、ここで後に退く訳にはいかない。大体、俺は反米非武装勢力だし、メリケンものにはこだわらねーよ、と一人ごち、48センチ径のものを購入した。
その後、電車に乗り、カフェに入り、街を歩いた。傍らには常にたらいがあった。邪魔だった。
さて、たらいは入手したが棹と弦の調達を行わなければならない。俺は再び近所のホームセンターへ走った。
何もモップの柄や洗濯紐などと、そこまでオーセンティックに洗濯&掃除にこだわらなくてよかろう、と思えたので、180㎝くらいある木の棒を購入する。弦は家に梱包用の麻縄があるのでそれを張ってみよう。
- 電気ドリルでたらいに4㎜くらいの穴を開ける。
- 電気ドリルでたらいの側面に棹支持金具取り付け用の穴を開け、ボルトナットで支持金具を取り付ける。
- 電気ドリルで棒に4㎜くらいの穴を開ける。
- 紐を通し、棹を支持金具で支える。
出来た。15分くらいだ。速。弾いてみる。
ビョーン。
おお、低音。ノリノリで弾きまくる。
ビョーン、ビョーン、ビョーン。
だが、何か音量が足りないというか、音質にも締まりがないというか、今一つ納得がいかない。そもそも実物を見たことも聴いたこともないのでこれでいいのかどうか全然分からない。
再びネットで検索してみる。するとプロフェッショナルなウォッシュタブ・ベースの製作方法が記されたサイト発見。すげえ。何でも弦はワイヤーがよいらしい。それも2㎜径の。
(MAKING OF WASHTUB BASS(washtub bass site より)
三たび、俺は近所のホームセンターへと走った。そこでワイヤー2メートルとワイヤー・クリップを2個調達する。
ワイヤーをたらいと棹に通し、両端をワイヤークリップで結束する。このとき、弦(ワイヤー)の張力により多大な力のかかるたらいへの圧力を緩衝するための部材として、手持ちのガラクタからステンの円形のプレートを2枚重ねにしたものとゴムのパッキンのようなものをたらいの裏に噛ませてみた。
弾いてみる。
ビョボーン。
前回との音色の変化が私の文章を通して伝わるだろうか。ボーン、という低音がやや出てきた感じなのだ。これは好ましい変化だ。まぁ、繰り返し述べるが、これでいいものなのかどうか、それはさっぱりわからない。とにかく、とりあえず今度録音でもしてみよう。と、まだまともに演奏できないことに気付いた。練習しないと。ベースラインを奏でられるようにならなければ製作の意味はないのだ。
問題点であるが、お部屋が確実に狭くなる。そして、ゴミっぽい。直径48㎝のたらいと2m近い棒は、邪魔だなあ。
たらい三態(70年代の裏ぶれた下宿風)