古い曲と新鮮に再会する


 このところオートハープという楽器の習得に勤しんでおります。


 毎日コツコツ練習しているのです。ようやく一曲ぎこちなく弾ける曲が出来つつあるので、しばらくのうちに成果を披露したいと思っています。うわ、ふてぶてしい宣言だ。まぁ、楽器の演奏は人に聞いていただいて冷たくあしらわれ上手くなるものです。


 大体、楽器というものは極めれば果てしなく奥深いものであろうが(極めたことがないので憶測です)、音を鳴らして楽しむ程度であれば、結構短期間でそれなりに習得できるものである。短期間の集中特訓は能力を急角度で上昇させます。そして、ある程度まで能力が上昇すると、そこから先は極めて水平飛行で、少々の練習ではそれ以上なかなか目に見えて上手くはならないものであろう。なので私には今が重要なのだ。ナウ!


 さて、なにしろこれまで体験したことのない機構をもった楽器である。当然、これまで眠っていた身体の各部位を酷使しているようで、両手首&背中&首などに痛みを感じるお年頃だ。若い時にもっともっといろいろな楽器に打ち込んでおけば良かったのかもしれないが、な〜に、今からやったって何の問題もないのさ。ちょっと身体が痛いだけなのさ。


 練習の過程で、指使いなど覚えるにはいろいろな曲を弾いた方が良いな、習うより慣れろだ、と思い、中学生のころ入手したと思われる古いフォークソング曲集を引っ張り出してきた。メロディとコードが簡潔に記された歌集のようなものだ。60・70年代のフォークソングや歌謡曲が満載である。


 「神田川」「ドナドナ」「失恋レストラン」「結婚しようよ」「別れ歌」などなど、コードを見ながら軽快に華麗に演奏する。いや、嘘を書いてはいけない。ときどき、かなりつっかえながらガタピシな演奏をする。ついでに口ずさみながら。ご機嫌だぜ。


 そんな曲集を端から端までめくっていて、どれも懐かしい曲ばかりなのだが、とりわけ大好きだった曲を見つけた。



かもめ



 詩は寺山修司、歌うは浅川マキ。


 諧謔とペーソス溢れる詩と、それを歌う独特の歌いぶり。
 ずっと音源でしか聴いたことがなかったが、私も今日初めて映像を見た。物語の世界に引き込まれるようだ。


 私にはこんな風には歌えないのだが、それでも一丁と、ここで会ったが百年目と、オートハープで伴奏しながら歌ってみる。


 か〜も〜め〜


 ・・・


 なんだか、中高生の頃、ギター一本の伴奏でフォークやロックを歌ったことなど思い出す。手に持った楽器が変わっても、曲は変わらない。時代も変わったが、曲は変わらない。


 練習します。