[歌舞音曲] 単数ギラ音楽・複数ギラギラ音楽

gong / guitar /noise composition



 6月14日、本家移動式音楽班のホームページに ”gong / guitar / noise composition” という、曲なのか、ただ音が鳴っているだけなのか、何ともなものをアップロードした。よかったらお聴きください。


移動式音楽班 音の世界「gong / guitar / noise composition」



 私の音楽の嗜好は、まぁ、いろいろなのだけれど、基本的に一曲に一ヶ所、ギラっとしたところが感じられるものが特に好きだ。
 ギラが二ヶ所でも三ヶ所でも別にいいのだが、あんまりだと曲全体がギラギラしてくるわけです。これが一点だけだとギラ要素と非ギラ要素間で、非常に落差のある対比があるわけで、そういう感覚がたまらないのだな。


 ところで、そのギラ要素の定義とは何ぞや?と問われると、非常に個人的な、感覚的なものとしか言いようがない。


 例えば、私は別にライ・クーダーの音楽を好んで聴くというわけではないが、ヴィム・ヴェンダースの映画『パリ、テキサス』のために彼が弾いたスライド・ギターのじょろ〜ん、とした音色にはギラ感覚を猛烈に喚起させられる。この音を聴いただけで、日常の風景が一変しそうだ。
 一方、同じヴィム・ヴェンダースが監督した『ブエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブ』でライ・クーダーキューバのミュージシャン達と組んで行なった演奏は、楽しめるがギラ要素を特別感じることはない。
 なぜだ?
 アイ・キャント・エクスプレイン。


 私は演奏とか歌唱とか、和音とかメロディとか、そういった、音楽を構成するのに非常に重要な部分でのテクニックの習得や習熟を、かなり投げ出している。それよりもギラッとした要素を如何にプレゼンテーションするか、そのテクニックを優先して磨きたいな、と、ずうっと思っているのです。


 そんなテクニックを、あらん限り御開陳していると思えるのがヴェルヴェット・アンダーグラウンドの最初の2枚のアルバム(『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ』『ホワイト・ライト / ホワイト・ヒート』)だ。凄え。


 あまりにも名高い、伝説的なアルバムなので、私が出る幕などない。あえてこれまでの文脈に鑑みて語ると、各曲単位でも、そのギラっぷりといったら尋常ではないのだが、アルバム単位での曲の並べ方が、各曲のギラ感覚を更に強調している。


 各曲を、可憐、変態、狂騒、不安、光、闇、美、醜といった尺度のレーダー・チャートにあてはめて図形化するなら、それはアルバムの曲順毎に大きな振幅を見せるだろう。そして、そもそもそのような尺度で描かれる音楽であるということが、人間の暗部を衝くようで素晴らしい。
 ギラ10点!


 一方、私が感じるギラギラの、複数ギラギラ音楽というと、西城秀樹とか、クレイジー・ケン・バンドとか、欧陽菲菲とか、大西ユカリとか、ニナ・ハーゲンとか、冠二郎とか、ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンとか、その辺の楽曲が思い浮かぶ。
 あ、なんだ、それも好きじゃん。