続き

 私は「続く...」といって永遠に続かないとか、「そのことについては後述する」といいながら全く後述されないとか、そういうナンセンスさや、極めて場当り的、かつ思いつきで書いちゃったことによる破綻の帰結を結構愛する。しかし、そうした手法を乱用すると、世間からは非常にいい加減な人間である、という烙印を押されることになるのでほどほどにせねばならない。


 というわけで、2007-02-13「好きな食い物」の末に「続くであろう」と控え目に、推量的な表現ながらも書いてしまったので続かせてみる。嫌いな食い物の話である。む?続いているような続いていないような。


 一般的な食品で食えないものは正直言ってない。ブルーチーズもピータンも、パクチーもにんにくもらっきょうも、羊も臓モツも、ひかりものも鮒寿司も、な〜んでも食う。食える。とはいえ、あんまり好きではないものも確かに存在する。


 食パン、というのがある。イギリス式のパンだ。毎朝食っているが、その実、子供の頃からあんまり好きではない。喉を通らない感じがして。ちなみに平日の朝食は、食パン一枚の半分にゴーダチーズみたいなチーズを一切れのせて焼いたものと、紅茶とヨーグルトだ。休日には玉子も食う。


 子供の頃、オーブンとかトースターとか、そんなものなかった。で、魚とか餅とかを焼く網をコンロにかけ(強火)、その上で食パンを炙っていた。やってみるがよい。焦げるよ。放っておくと極めて短時間の間にこんがり黒焦げになる。ではそれをかじってみよう。ガサっ。炭化、という言葉がしっくり感じられるひとときである。


 何かパンに塗ればいーんでないの?そう、その通りである。バタとかマーガリンとかジャムとかね。我が家では、なぜだかマヨネーズを塗ったくられていた。炭化食パン+マヨである。やってみ。まじいよ。


 実はマヨネーズもあんまり好きではない。世にマヨラーなるものがあるように、この平成日本でマヨネーズが嫌いという人間はあんまりいないのではなかろうか。野菜スティックはマヨをつけることなく食う。コールスローサラダは、強敵だ。できれば食いたくない。自分で焼くお好み焼きにはかけない。ゆで卵の頂点にアサヒビールの本社ビル(参考:建築サイト「もっとアーキテクチュア」より)のようにマヨネーズをのせた状態など、見ると寒気がする。


 まぁ、食えないわけではないのだ。2006-09-04 「アーティチョーク」の中で、アーティチョークにマヨをちょこっとつけて食っている記述がある。一応、店主に他の食い方がないか確認したが「うちのマヨは美味いから大丈夫だ」と言われ。


 一体、炭化食パン+マヨ体験がその二つを嫌いにしているのかはよくわからない。精神分析してもらわないと。食パンについては、林望イギリスはおいしい』によれば、英国ではできる限り薄切りが好ましいものとされ、パンは決して主食ではなく、ジャムとかプレザーブなどを美味しくお口へ運ぶための「台」に過ぎないのだとか。その辺り、日本での食パンの食し方と随分違うようだ。そもそも英国では「主食」と言う概念自体ないらしい。強いて主食と言うとそれはジャガイモ?という英国人の証言も紹介されている。


 それを読んだ時には「ハハ〜ン」と思った。私もきっと主食としての食パンが御免なのだ。ジャムとかハムとかトマトとか玉子などの添え物でいて欲しい。加えて、間違ってもこんがり黒焦げに炭化しておってはならない。適度にキツネ色で参りましょう。


(続く、かどうかは記さないこととする)


イギリスはおいしい (文春文庫)

イギリスはおいしい (文春文庫)