DEUTSCHE SCHLAGER

DEUTSCHE SCHLAGER



 レコード屋、もとい、CD屋にビョークのニュー・アルバムを買いに行った。今や、英語のロック関係で確実に新譜を購入するアーティストといえばビョークルー・リードだけだろうか。


 ビョーク、ビジョーク、ビョルクと呟きつつ探す。その時点で俺の頭の中には彼女の名曲が鳴り響いている。Hyper Ballad とか Pagan Poetry とか。あ、あった。これだ。


 ビョークの新譜を握りしめ、暇なので店内の他の棚もてくてくと回る。まず「ワールド」という棚へと移動する生態だ。


 一般的なCD屋の「ワールド」なんて棚は、大抵、どこでもそうだが、それほど「ワールド」なわけではない。随分と狭いワールドだよ。で置いてあるものは慣れた目で見れば決まりきった品揃えのほうが幅を利かせている。それでも面白そうな盤を探してみたくなるコーナーなのだが。


 一通り眺めて、ワールドの一番端っこ、コンピレーションが並べてあるブロックに妙なもの発見。ボックス・セットみたいなCDなのだが、値札が、たったの1460円なのだ。何?コレ。


 手にとってみるとそれはズシっと10枚組。DEUTSCHE SCHLAGER というタイトルなのでドイツのCDなんだろうね、とわかるが、私は SCHLAGER という単語の意味を知らない。裏を見ると、どうやら1910年代から1950年代のドイツの録音物のコンピらしいことが伺えた。


 お、いいじゃん。


 ・・・


 購入してしまった。10枚組なので、しばらくこの道一筋のためビョークのCDは丁重に棚に戻してきた。なーにーをしにCD屋へ行ったのだろう。


 さて、DEUTSCHE SCHLAGER(ドイッチェ・シュラーガー)であるが、うむ、その意味は「ドイツの流行歌」であった(調べた)。そして、その中身は、仮に日本の状況に照らし合せてみるとすると、例えば新聞の通販広告で売られている「昭和歌謡ベスト!」のような企画のドイツ版とみた。年代的に50年代止まりなので昭和とは対応しないが。


 今のところ二枚聴いたが、実に明るい。長調民族だぞドイツ人は。どちらかというとAマイナー系短調民族である日本人とは違うぞ。実に爽やか中央ヨーロッパ歌謡である。日本の昭和初期にもこの手の西洋サウンドは見られるはずだ。彼の国では、クラッシックも民謡も歌謡曲も、地続きな感じが伝わってくる。我が家でのビア・パーティには欠かせないBGMだね(やらないけどね、そんなこと)。


 SP盤から起こしたであろうサウンドもよいし、当時の演奏も歌唱も大好きなので結構なのだが、ま、言ってみりゃあ同じような曲が次から次へと山盛りで、そろそろ飽きてきている。編集にもよるだろうが、日本の歌謡全集のようなサウンド面および背景の振れ幅、バリエーションの多様さはない。今のところ。とはいえ、この手のコンピレーションはずーっと聴いていると、他のことを忘れて頭が幸せ〜になってくるので、その日を待ちたい。そしたらビョーク。待っててビョーク


 そうそう、10枚組200曲入りだった。一曲単価7.3円。ダス・イスト・ニヒト・トイヤー。安いね。


 異様に安いぞ。