マンドリン弦を語る


 さて、今日は少しためになることを書いちゃおう。


 私はマンドリンという楽器を奏でたりする。もうその書き出しから、人類の99%にとって別にためになるのではないことを書こうとしている香りが、ぷわ〜んと漂ってくると判断せざるを得ないが、その、残りのカスカスな人材の為に記そうとしているのである。あなたカスカスですか?私はカスカスです。


 マンドリンに、胴が洋梨を半割にしたようなものと、胴の背面が平たいものとがあることを御存知でしょうか。前者はクラシック・ギターとのアンサンブルなどに、後者はカントリー音楽などに使用されることが多いようです。別に好きな用途で使えばよろしいと私などは思うのだが、それがそれが。ところがところが。


 私はその両方を所有しているのだが、胴の背面が平たい方は、昔、イスタンブールで邦貨換算2000えんくらいで購入したもので、まぁ、置き物に毛が生えた程度のクオリティである。演奏にはきつい。


 しかし、それまで半洋梨型のマンドリンしか奏でたことのなかった私は、このフラットバックなマンドリンに出会い、一つのことを知った。


 フラットマンドリンの弦は、私がそれまで使っていた半洋梨マンドリンのそれより、格段に安い。


 どちらも4コースに2本ずつ、計8本の弦を張るのだが、フラットマンドリンの弦は1セット800円くらいで買える。どんな程度かはわからんが、とにかくぼくのお小遣いでもへっちゃらな価格だ。


 では一方、私がそれまで購入してきた半洋梨マンドリン弦はといえば、驚くなかれ3500円くらいしやがるのだ。4倍以上である。おそるべきその格差。


 オプティマ(昔はマキシマという名前だったが)というブランドの赤いパッケージの弦をかれこれ20年くらい使っている。というか、それしか使ったことがないともいう。20年前は、そんなに高くなかったような気がする(してたら弾いていなかったと思う)のだが、現状の田舎暮らしで、それを入手できる楽器屋で1セットを購入すると、必ず「は?」という気分にさせられるのだ。ぼくのお小遣い大ピンチ。


 それなら、と、安いフラットマンドリン用の弦を半洋梨マンドリンに装着すればよいではないかと当然考えるに至るというものである。うん、装着は可能だよ。が、しかし、音が妙なのだ。それは私の知る半洋梨マンドリンの響きとは異質な響きなのだ。そもそもクラシカルな演奏ができない私にとって、全然快くないのだから、クラシカルでトラディショナルな演奏をたしなむプレーヤー達には、より強い不快感が極まるであろうことが察せられた。何というか、浅い響きのチープな金属質の音になる。


 というわけで、茹でた弦を装着してみたり、いろいろと邪な道を歩んでみたのだが、最近、マンドリンを弾く機会があまりなく(ブズーキなどを入手したというせいもある)、弦問題はぼくのお小遣い問題として深く沈潜しておったのだが、ここにきて再浮上してしまったのだ。


 先日、どーれ、久々にマンドリンでも弾くか、と、糸巻きを操って調弦しようとしていたところ、いきなり「ベシ」という音とともに弦が切れた。やはり茹でた弦は劣化する。当たり前だ。そもそもの企画がなっちゃいない。


 いよいよ弦を購入せねば。しかし私には斬新なアイディアがある。ネットで探せばいーじゃん。


 おいおい、いつの時代の人だよ、と思われるが、マンドリンに関しては今初めて実行することなのだから仕方がない。検索し、捜索してみると、かなーりお安く購入できる実態が次々と赤裸々になってきた。3500円は1ドル300円くらいのレートに思える。


 通販している先はいろいろとあったが、私が決めたのは、こちらである。


 弦各種というページから、オプティママンドリン弦が、ぼくのお小遣いでもへっちゃら価格で購入できます。思わず2セット注文してしまったぜ。そして注文したら翌日届いたぜ。速いぞ!ありがとう!


 が、考えてみると私のプレイ・スタイルは、そもそもフラットマンドリン的なものなのではないだろうか。じゃらじゃら弾くし。まぁ、今は、楽器を変えたらどうなのだろうか、という私の胸にくすぶる疑問はそのままにしておきたい。


 というわけで、マンドリン弦1セットへの出費3500円にお悩みのあなたは、この日報を参考にされると、とってもためになるのだと思うのだよ。